クラシックCDの名盤 大作曲家偏

クラシックCDの名盤 大作曲家篇 (文春新書)

クラシックCDの紹介本です。有名な作曲家から好きな曲を3曲選び、著者3名が好きなCDを紹介するという内容です。ただ、好きな曲を3曲だけ選ぶというのも少々無理な企画だと思いますけどね。

バッハ、モーツアルト、ベートーヴェンと読み進めてみて、まだまだ知らない音楽があることには気づきます。ただ、肝心な著者の推薦CDに関してはあまり興味が持てませんでした。それぞれの思い込みのある演奏なのは分かりますが、私の感性に合っているかどうかなんて、考えて書いているはずもありませんのでね。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のなかで、コパチンスカヤの演奏についての記述があるのですが、宇野氏は素晴らしい演奏だと持ち上げ、中野氏は「節度がない」とこき下ろす。つまり、演奏を聴く人の感覚によって評価も大きく変わるわけです。私はコパチンスカヤの演奏は非常に素晴らしいものだと感じますが、中野氏の「節度がない」なんて話を聞くと変な先入観で感動も薄れたかもしれませんしね。

ただ、「節度がない」というのは、楽譜通りに弾くかどうかという観点で、楽譜を好き勝手にいじるのはよくないと。特にベートーヴェンではやってほしくないということなんですが、ベートーヴェン本人が楽譜をいじってはダメだと言っているのなら話は別ですが、2018年まで生き延びている普遍性のある音楽なのですから、極端に言うとベートーヴェンがポップスやジャズになったって良いと思います。クラシックの演奏としての節度についても、聞き手の問題で、演奏会でそれが嫌であれば席を立てばいいし、CDも買わなければいいわけです。

あと、バッハのところで、バッハは嫌いだといいながらバッハの好きな曲を3曲選ぶことが出来ず、唯一好きな曲のみ紹介しているところなんかは、少し寂しいですね。あとバッハ崇拝者という言い回しはいただけません。崇拝者には宗教的ニュアンスがあり、まるでバッハ教を崇拝する人みたいな、特殊な人種みたいな扱いに感じますので。少なくとも私みたいなバッハ崇拝者はそう思いますけどね。

一通り読んでみて、本の趣旨がそうなのかもしれませんが、あれが良いこれは嫌いと好き勝手に書いている感があります。作曲家別ということであっても、作曲家についてなにか新しい発見があるわけでもなく、比較的昔の思い出に浸って懐かしいCDを薦めている感じです。クラシックが好きで暇つぶしの方や今からクラシックを聴こうという入門編としては良いと思います。ただ、この本を読んでCDを聞いてみようとは思いませんね。お堅い先生方の感性にしたがい、古い録音のCDを聴くことはないですね。私はこの本を読みながら、現代を生きる若い演奏家の柔軟な発想をもった演奏を聴くことにします。



投稿者: efu

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